2017 年 11 巻 4 号 p. 310-315
79歳, 男性。2015年2月に感冒症状に対し近医でクラリス®, ムコダイン®DS, リン酸コデイン®, PL配合顆粒 (以下PL顆粒) を処方された。2日後に皮疹が出現し, 他院皮膚科を受診。前額部, 背部など数か所赤紫色斑を認め, 固定薬疹を考え当科に紹介となった。既往に高血圧, 喘息があり2007年ごろよりベニジピン塩酸塩 (以下コニール®) , アレグラ®を内服していた。皮膚生検はinterface dermatitis。パッチテストではPL顆粒, コニール®が皮疹部に陽性。成分パッチテストは, PL顆粒の成分であるメチレンジサリチル酸プロメタジンが皮疹部に陽性, コニール®は陰性であった。PL顆粒, コニール®による固定薬疹と診断した。PL顆粒の成分であるメチレンジサリチル酸プロメタジン, コニール®の主成分は化学構造的に類似性がないため, 複数の薬によりpolysensitivityが生じ, 固定薬疹を誘発したと考えた。