2016 年 23 巻 2 号 p. 1-4
はじめに:肘関節後方障害を有する高校生投手に対し,リハビリテーションを行い,その前後での投球動作の変化を検討した.
対象・方法:肘関節後方障害と診断された高校生投手10例に対し,リハビリテーション前後での投球動作を三次元動作解析装置で測定した.評価として,球速および下肢・体幹の関節角度変化を対応のあるt検定を用いて比較した.
結果:球速は有意差を認めなかった.リハビリテーション後の下肢・体幹の関節角度では,アーリーコッキング期に軸足股関節外転角度が有意に増大し,肩関節最大外旋位(MER)では軸足股関節外転角度,非投球側への体幹側屈角度が有意に減少した.
考察:アーリーコッキング期では,下肢筋群が最大収縮を行う時期であり,特に股関節運動は,内転モーメントを産出する重要な動きである.リハビリテーション前では,股関節外転不足によって,MERにおいて体幹の代償動作を生じていると考えた.