2016 年 23 巻 2 号 p. 5-8
われわれはトップレベルである全女子プロ野球投手における投球フォームと肘関節最大内反トルクとの関連について検討した.対象は全力投球可能な女子プロ野球投手12名とした.全力投球時の球速をスピードガンで,投球フォームを三次元動作解析装置で測定した.球速および投球動作中の各関節角度と肘関節最大内反トルクとの関係をPearsonの相関係数によって検討した(P<.05).球速と肘関節最大内反トルクとの間には相関を認めなかった(r =.17, P=.61).投球動作中の各関節角度と肘関節最大内反トルクとの間では,9変数との関連を示し,特に投球方向への腰椎回旋角度と最も高い正の相関を認めた(r =.83,P <.01).体幹によってエネルギーを産出できない場合,代償として上肢依存の投球となり,肘関節最大内反トルクは高値を示したと考えた.