2016 年 23 巻 2 号 p. 9-12
目的:投球肘障害選手の下垂位での肩外旋角度の特徴を検証した.
方法:対象は肘障害を有する野球選手25例(肘障害群)と障害を有さない選手14例(健常群)であった.対照は,非投球スポーツ選手20例とした(対照群).全例に対して下垂位での外旋角度を両肩で測定し,肘障害群と健常群では投球側と非投球側の下垂位外旋角度の差を,対照群では利き手側と非利き手側との角度差を算出し,3群間で比較検討した.
結果:肘障害群,健常群,対照群の下垂位外旋角度差は,それぞれ-4.6±3.5度,-2.9±6.7度,-0.4±2.4度で,いずれの群も投球側あるいは利き手側が小さかった.特に肘障害群では,対照群に比し有意に下垂位外旋角度差が小さかった(P=0.0001).
結論:肘障害群で明らかに下垂位肩外旋角度が投球側で低下していたことより,定期的な両肩の下垂位肩外旋角度の測定は肘障害発生予防のために有用と考えられた.