2016 年 23 巻 2 号 p. 92-94
目的:正中神経が近位骨片の後方に転位して骨片間に陥入し,観血的整復を要した小児上腕骨顆上骨折の2例を経験したので報告する.
症例:症例は7歳男児と7歳女児.2例とも鉄棒から転落し受傷した.来院時,橈骨動脈は触知不能で高位正中神経麻痺を認め,X-p像ではGartland分類type IIIの上腕骨顆上骨折を認めた.肘関節前方より展開したところ,正中神経は近位骨片の後内側を回り込むように走行し背側へ牽引されていた.上腕動脈は骨片により圧迫されていたが損傷はなかった.近位骨片と正中神経の引っ掛かりを解除し,骨折部を整復固定した.2例とも正中神経麻痺は改善した.
考察:本例のように正中神経だけが近位骨片の後内側に回り込み,牽引・絞扼されていた報告は稀だが,このような症例に徒手整復を行うと正中神経の損傷を引き起こす可能性が高いため,徒手整復前に観血的に神経・動脈の確認を行うべきである.