日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ.小児骨折・先天疾患
上腕骨顆上骨折後に生じたFishtail変形
山賀 崇堀井 恵美子洪 淑貴小野田 亮介大島 明杉浦 洋貴長谷 康弘
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2016 年 23 巻 2 号 p. 89-91

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抄録

 上腕骨顆上骨折術後にfishtail変形を呈した2例を報告する.症例1は5歳男児.上腕骨顆上骨折Gartland III型に対し,経皮的鋼線固定術を施行した.術後3年間,可動域制限も認めず経過良好であったが,術後4年,9歳時に肘関節痛,可動域制限を訴えた.単純X線像でfishtail変形を認め,運動制限をしつつ,慎重に経過観察中である.症例2は11歳男児.肘関節痛と可動域制限で受診,単純X線像でfishtail変形がみられた.7歳時に上腕骨顆上骨折Gartland III型を受傷,経皮的鋼線固定術を施行された既往があったが,術後6か月で経過良好で治療終了となっていた.上腕骨顆上骨折術後にfishtail変形を生じ,臨床症状を伴う2例を経験した.原因としては,上腕骨滑車部の血行の特異性のため,受傷時あるいは整復,ピンニング時に血行障害をきたしたことによると考えられた.

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© 2016 日本肘関節学会
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