日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
II.成人骨折・脱臼
上腕骨遠位骨幹部骨折術後の著しいLooseningを伴う偽関節に対してDouble Plate法で治療した1例
長田 龍介頭川 峰志
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2017 年 24 巻 2 号 p. 119-122

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抄録

 症例は30歳男性.左上腕骨遠位骨幹部遠位の第3骨片を有する斜骨折に対して初回手術として前外側のロッキングプレート固定がなされた.術後looseningが認められたが再手術を希望されず経過し,4年6か月後に左上腕の疼痛が強くなったため再手術となった.局所の腫脹と不安定性により肘,肩の運動制限があり,X線像では偽関節と各スクリュー周囲の広範な骨融解が見られた.固定性不足による偽関節に対して偽関節部新鮮化,内,外側プレート固定,腸骨移植を行った.術後6か月で骨癒合を確認し1年8か月の最終調査で日常生活の不都合はなかった.本症例は骨幹部骨折ではあるが,骨折部上下の十分なスクリュー刺入部位を確保するために初回から内,外側の上腕骨遠位部用プレートが使用されるべきであったと考える.骨欠損と不安定性の大きな偽関節に対する手術を計画するにあたり3次元模型を用いたシミュレーションが有用であった.

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© 2017 日本肘関節学会
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