2017 年 24 巻 2 号 p. 116-118
高齢者上腕骨通顆骨折に対して当科ではこれまで外側にtension band wiring,内側にscrewを用いる術式を行ってきたのでその術後成績を調査した.65歳以上の上腕骨通顆骨折9例を対象とした.男性2例,女性7例,手術時平均年齢は81.4(71~91)歳,受傷から手術までの期間は平均7.0(4~12)日であった.調査項目は骨癒合の有無,肘関節可動域,合併症,術直後と最終観察時の上腕骨角,tilting angleの変化量とした.全例において骨癒合が得られた.肘関節可動域は伸展平均-16.1度,屈曲平均116.7度であった.合併症としてK-wireのゆるみを1例に認めた.上腕骨角変化量は平均1.1度,tilting angle変化量は平均0.75度であった.本術式はロッキングプレートを用いた固定に比し低侵襲・安価であり,高齢者上腕骨通顆骨折に対して考慮されてもよい術式と思われた.