日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
II.成人骨折・脱臼
上腕骨滑車単独骨折の1例
伊佐治 雅尼子 雅敏藤巻 亮二高島 健一山田 真央有野 浩司千葉 一裕
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キーワード: 上腕骨, 滑車部, 単独骨折
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2017 年 24 巻 2 号 p. 138-140

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抄録

 はじめに:上腕骨滑車部単独骨折の症例を経験したので報告する.

 症例:19歳男性,スノーボード中に転倒し,右肘屈曲位で肘頭を強打して受傷した.CTにおいて右上腕骨滑車内側に骨折を認めたが,上腕骨小頭に骨折は認めなかった.治療は内側アプローチで吸収性スクリューを用いて観血的整復固定術を施行し,術後2週目より装具装着下で可動域訓練を開始した.術後6か月で骨癒合を確認でき,肘関節可動域は伸展0°,屈曲140°まで改善を認めた.スポーツへの復帰も果たしている.

 考察:上腕骨遠位冠状断骨折はまれな骨折であるが,上腕骨滑車単独骨折はさらにまれである.本症例は肘屈曲位で肘頭を介した剪断力が上腕骨滑車に生じて受傷したと考えられた.吸収ピンを用いての観血的整復固定術で良好な成績が得られた.

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© 2017 日本肘関節学会
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