日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
IV.野球肘
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎と内側側副靱帯損傷合併例に対する治療戦略
峯 博子荻本 晋作鶴田 敏幸
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 24 巻 2 号 p. 264-267

詳細
抄録

 上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans,以下OCD)と内側側副靱帯(medial collateral ligament,以下MCL)損傷を合併した例は少なくない.われわれは先行研究において,内側の不安定性はOCDの増悪因子の1つであると考えられたことから,症例を選択しOCD手術時に内側の安定性獲得を目的にMCL再建術を行ったので,その治療成績を報告する.対象は8例で全例男性,手術時年齢は平均15.5歳であった.手術は,OCDに対してmosaicplastyを行い,MCLは長掌筋腱を用いて再建した.術後1年以上経過した5例のOCD修復状態は優が2例,良が3例で,橈骨頭肥大の進行を1例に認めた.全例疼痛,スポーツ能力の低下はなく,競技を継続していた.OCDにMCL機能不全を合併している症例においては,同時手術は有用な治療法の一つであると考えられた.

著者関連情報
© 2017 日本肘関節学会
前の記事 次の記事
feedback
Top