2017 年 24 巻 2 号 p. 264-267
上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans,以下OCD)と内側側副靱帯(medial collateral ligament,以下MCL)損傷を合併した例は少なくない.われわれは先行研究において,内側の不安定性はOCDの増悪因子の1つであると考えられたことから,症例を選択しOCD手術時に内側の安定性獲得を目的にMCL再建術を行ったので,その治療成績を報告する.対象は8例で全例男性,手術時年齢は平均15.5歳であった.手術は,OCDに対してmosaicplastyを行い,MCLは長掌筋腱を用いて再建した.術後1年以上経過した5例のOCD修復状態は優が2例,良が3例で,橈骨頭肥大の進行を1例に認めた.全例疼痛,スポーツ能力の低下はなく,競技を継続していた.OCDにMCL機能不全を合併している症例においては,同時手術は有用な治療法の一つであると考えられた.