2017 年 24 巻 2 号 p. 268-272
目的:肘内側側副靱帯(以下,UCL)損傷手術例に対し術前の靱帯部分のMRI所見と術中採取した靱帯の病理組織所見を比較検討した.
対象:UCL再建術を行った39例39肘のうち,靱帯組織を全長に渡って採取できた16例16肘.
方法:高分解能MRIを用いプロトン密度強調画像,T2*強調画像,脂肪抑制T2強調画像の冠状断を用いた.病理組織はUCLの中央を内側上顆から鉤状結節まで線維方向に約2mm幅で採取しHE染色で評価した.
結果:MRIにて靱帯内に信号変化を呈する領域には病理組織学的に出血,欠損,血管増生,靱帯線維配列の不整,膠原線維の侵入を認めた.一方で信号変化を呈さない領域においても正常構造以外に靱帯線維配列の軽度不整や靱帯線維のたるみを認めた.
結語:UCL損傷例のMRI所見の病理組織学的妥当性は高く,術前MRI所見より病理組織学的所見が推定可能であると考える.