2017 年 24 巻 2 号 p. 277-279
肘頭後方衝突症候群(VEO)の診断にて手術治療を施行した野球選手9例の臨床所見,治療成績を報告する.平均年齢は,22(17~34)歳,投手7例,捕手2例であった.有症状期間は平均24週,初診から手術までは平均15週であった.圧痛はMCLに4例,肘頭後内側に9例認め,伸展-屈曲は平均-3°-135°,外反ストレス・テストは4例,milking manueverは2例,arm bar testは9例に陽性であった.手術適応は,CTにて肘頭の骨棘を認め,約3か月の保存的治療に抵抗した症例とした.手術方法は,鏡視下に肘頭骨棘を削り,肘関節伸展位にて肘頭窩との間隙ができるようにした.観察期間は平均73(24~137)か月であった.全例,元のレベルあるいはそれ以上のレベルにて復帰した(平均4か月).VEOの手術治療は,MCLの状態を確認した上で肘頭の不安定な骨棘を最小限(生来の肘頭を可及的に温存)に切除すべきである.