2017 年 24 巻 2 号 p. 38-39
小児上腕骨遠位端T字型骨折に対して手術を行った1例を報告する.
症例は7歳女児.雲梯から転落し受傷した.X線にて上腕骨遠位端T字型骨折を認めた.関節面の離解は軽度であったが,内側皮質粉砕を認めた.徒手整復を行い,経皮的に顆間部を2本のKirchner鋼線で固定後,Kirschner鋼線3本で遠位骨片と骨幹部骨片との交差刺入固定を行った.術後12か月にて骨癒合・可動域に問題はないものの,肘の生理的外反が消失した.
骨格が未成熟で内側皮質粉砕のある症例では,術後に整復位の矯正損失が起こる可能性があり,術中の固定力を上げるために内側から2本鋼線刺入をするか,過矯正をかけて整復固定を行うなど,内反肘を念頭に置いた手術を行う必要がある.