日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
I.小児骨折・先天性疾患
若年者上腕骨T字骨折に対してLateral Para-olecranon Approachを用いた手術成績
前田 篤志鈴木 拓岩本 卓士黒岩 宇長谷川 正樹志津 香苗早川 克彦鈴木 克侍
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2017 年 24 巻 2 号 p. 34-37

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抄録

 近年,成人における上腕骨遠位端骨折に対して骨切りを必要としないlateral para-olecranon approach(以下LPOA)を用いて関節面の整復を行うアプローチの有用性が報告されている.今回,LPOAを用いた若年者の上腕骨遠位T字骨折の治療経験について報告する.LPOAは,膝関節で普及しているparapatellar approachに類似したアプローチで,上腕三頭筋を正中で縦割してさらに遠位の肘筋を尺骨から剥離して,肘頭外側まで展開できるため関節面を展開することができるアプローチである.上腕骨遠位関節面へのアプローチとしてparatricipital approach,triceps split,Bryan-Morrey,olecranon osteotomy,前方アプローチといった様々な報告があるが,各々問題点も報告されている.今回,若年者2例の上腕骨T字骨折に対してLPOA用いて治療を行い,整復位,骨癒合,術後可動域とも良好な成績を得ることができ,合併症も認めなかった.LPOAは若年者の関節内骨折(C1,C2)においても有用なアプローチと考える.

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© 2017 日本肘関節学会
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