2017 年 24 巻 2 号 p. 60-62
緒言:MRIで診断可能であった小児上腕骨外側上顆sleeve骨折の1例を経験した.
症例:11歳男児 .スケートボードで左手を後ろ手について転倒受傷し,左肘関節痛を主訴に同日当科を初診した.単純X線像では明らかな骨折は認めず,CTにて腕橈関節後外側に4mm大の剥離骨片を認めた.肘上シーネ固定で保存的加療としたが,受傷14日後の肘関節ROMは-30~120度と伸展制限が著明であった.MRIでは肘関節後外側の小骨片には外側上顆および外側顆骨端軟が付着しており,腕橈関節に嵌頓していた.上腕骨外側上顆sleeve骨折の所見であった.観血的整復内固定術を実施し,術後4か月で疼痛なく可動域制限や不安定性も認めない.
考察:外側上顆sleeve骨折はX線・CT所見に乏しく診断が難しい.本症例ではMRIで軟骨損傷の評価が可能であり,骨端核出現時期の小児において同骨折を疑うときには,積極的にMRIを撮影するべきだと思われた.