2017 年 24 巻 2 号 p. 63-65
上腕骨内側上顆骨折においてWatson-Jones(WJ)分類type IIIは絶対適応とされるが,それ以外のものは専門家間でも意見が分かれる.著者らは積極的にtension band wiring固定(TBW)による手術療法と術後早期から自動運動開始する後療法をおこなっており,その治療成績を検討した.対象は上腕骨内側上顆骨折で手術療法を行った8例(男5例女3例)であり,受傷時平均年齢11.9歳,WJ分類type II 4例,type III 1例,type IV 3例であった.手術は全例TBWによる観血的固定法を行い,術後平均6.4日のシーネ固定後,自動運動を行った.これらの症例の最終診察時の治療成績は,平均可動域伸展2.5°,屈曲143°,回外90°,回内90°,全例において疼痛なし,外反不安定性なし,神経麻痺なし,JOA -JES score全例100と良好であり,著者らの方法は有効な治療法である.