日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
I.小児骨折・先天性疾患
小児上腕骨内側上顆偽関節に対して靱帯再建術を施行した1例
難波 二郎宮村 聡岡本 道雄山本 浩司
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キーワード: 内側上顆骨折, 偽関節, 再建
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2017 年 24 巻 2 号 p. 70-72

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抄録

 上腕骨内側上顆偽関節は稀に症候性となる.症候性に対する手術報告は散見されるが,術式は内側上顆切除と靱帯縫着,偽関節手術,内側上顆温存と靱帯再建など様々であり,手術成績は定まっていない.小児上腕骨内側上顆偽関節に対して骨成熟を待機後に施行した靱帯再建術を報告する.7歳時に上腕骨内側上顆骨折に対して保存療法を受け,10歳時転倒後に右肘関節内側痛を発症したため,同年,線維性癒合部断裂の縫合術を施行した.13歳時,十分な滑車部骨成熟を確認し,内側側副靱帯起始部の等尺性ポイントに留意した内側側副靱帯再建術を施行した.内側上顆骨片は切除し,滑車中心に骨孔を作成し長掌筋腱移植した靱帯を挿入固定した.術後19か月の時点で,生活や運動に支障なく臨床成績は良好であった.過去に再建手術時期が13歳時の報告はなく,内側側副靱帯前斜走線維成分の解剖学的再建であることが合理的と考える.

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© 2017 日本肘関節学会
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