2018 年 25 巻 2 号 p. 115-118
65歳以上の肘頭骨折を後ろ向きに調査し,K-wireによるtension band wiring(TBW)法の24例(K群),Ring pinやAI pinによるTBW法の7例(R群),plate固定術の22例(P群)の3群間で比較検討した.全例で骨癒合が得られたが,関節症性変化が各群1例ずつに見られた.各群のMEPSや可動域などの臨床成績は良好で,有意な差はなかった.合併症は,K群では2mm以上の鋼線の逸脱であるbackoutが7例,implantの入れ替えが3例,感染による抜釘が2例,拘縮による授動術が1例,P群ではプレート固定術後に近位骨片が再転位するproximal cutoutが3例,尺骨神経障害による神経剥離術が3例で,R群にはなかった.高齢者の肘頭骨折に対しては,TBW法は鋼線のbackout,プレート固定術はproximal cutoutなどの合併症を予防する必要がある.