2018 年 25 巻 2 号 p. 123-127
アナトミカルロッキングプレート(ALP)固定法を行った尺骨近位部骨折(PUF)の20例(男性11例,女性9例,平均年齢55歳)の臨床成績を調査し,その有用性と注意点を検討した.肘頭・骨幹端部粉砕骨折,肘頭脱臼骨折,Monteggia脱臼骨折などの不安定型のPUFに対して,症例に応じて計7機種のALPが使用され,良好な臨床成績が得られていた.鉤状突起骨折合併例においては,ALPによる肘頭骨片の最終固定が行われる前に,スクリューやミニプレートなどを用いた鉤状突起骨片の安定化を得ておくことで,同骨片の術後再転位例はなかった.また,本邦で使用可能な各ALPのコンセプト・仕様・特徴を理解し,PUFの損傷形態・病態・骨質・体格などに応じてプレート選択および効果的なプレート機能を持たせることが重要となる.