2018 年 25 巻 2 号 p. 136-138
Mason type IIIの橈骨頭骨折の骨接合術後に偽関節となったが,日常生活上,不自由のない症例を経験した.人工橈骨頭置換の時期を遅らせられる可能性として1例報告をする.
68歳,女性.粉砕型橈骨頭骨折を受傷し,観血的骨接合術を行った.術後11か月の抜釘の際,頚部は偽関節であったが,骨頭は癒合し軟骨面に明らかな変性はなく,再生した軟骨にスクリュー,ワイヤーは埋もれていた.骨接合術から1年半で,肘屈曲140°,伸展-10°,回外70°,回内80°となり,肘の圧痛,不安定性もなく,quick DASHで6.82点,患者満足度で9/10点となった.
橈骨頭は肘関節の安定性に重要であるため,骨接合術が不可能な場合,人工橈骨頭置換術が選択されることも多い.人工橈骨頭は,デザインや固定方法,長期成績などの点でまだ未解決であり,偽関節となってもスペーサーとして橈骨頭を残す意義があると考えられた.