2018 年 25 巻 2 号 p. 157-160
尺骨鉤状突起偽関節を伴った後外側回旋不安定症(PLRI)に対し,関節鏡支援偽関節手術を施行し良好な成績を得たので報告する.症例は14歳,男児.約8か月前,サッカー中に左尺骨鉤状突起骨折を受傷した.他院で1か月間のギプス固定が行われ,以後症状なく経過していた.3週間前,サッカー中に左肘関節後方脱臼を受傷した.徒手整復後,2週間のシーネ固定が行われたが容易に再脱臼し当科へ紹介された.肘関節外側に腫脹を認め,PLRIテストが陽性であった.画像所見で尺骨鉤状突起偽関節およびLCL断裂を認めた.関節鏡視下に偽関節部の新鮮化と整復を行い,透視下に鋼線固定を行った.LCLは直視下にアンカーで縫合した.術後3週間ギプス固定を行い,術後8か月で抜釘術を行った.術後1年の時点で,疼痛,可動域制限,関節不安定性は認めず,JOA-JESスコアは100点であった.本術式は低侵襲で有用な方法と思われる.