2018 年 25 巻 2 号 p. 228-230
中学野球実態調査で,「肘の痛みがあり投げることを休んでいる期間,練習で何をしたか」の質問に対する回答の3位は「打撃」であった.そこで今回,投球障害肘と診断された小・中学生の成長期野球競技者80名を対象に打撃時の肘痛について調査を実施した.方法は初診時に打撃時の肘痛について聴取し,単純X線画像における骨傷の有無と肘関節可動域を調査した.その結果,骨傷あり群52名で打撃時の肘痛あり8名(15.4%),打撃時の肘痛なし44名(84.6%)であった.骨傷なし群28名で打撃時の肘痛あり6名(21.4%),打撃時の肘痛なし22名(78.6%).打撃時の肘痛の有無と肘関節可動域に有意な差は認めなかった.
投球障害肘を呈しても7割以上が打撃時の痛みを自覚していなかったが,骨傷があっても痛みを自覚していないことから,打撃と肘内側への負荷との関係などを明らかにしていく必要があると思われる.