2018 年 25 巻 2 号 p. 297-299
症例は82歳の女性で2か月前に受傷し,近医で6週間ギプス固定をされた.その後他医で肘関節脱臼骨折が判明し当院受診となった.肘関節は屈曲拘縮,手指も腫脹,拘縮し日常生活上支障をきたしていた.陳旧性で高度の拘縮があり,また関節面の軟骨損傷もあったため人工肘関節置換術(Discovery elbow system)を施行した.術後12か月時点で,疼痛・不安定性はなく,可動域は伸展-28度,屈曲135度,JOA-JES score 90点と改善をみとめた.高齢者の陳旧性脱臼骨折で関節面軟骨損傷がある場合,除痛・安定性・日常生活上困らない程度の可動域の獲得という治療目標にむけて早期に一期的に解決しうる手段として人工肘関節置換術は有用であった.