日本肘関節学会雑誌
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Print ISSN : 1349-7324
VIII.人工関節
大きな骨欠損を伴う肘開放骨折に対し,二期的に人工肘関節置換術を施行した1例
前田 明子西田 欽也蔡 栄浩佐々木 勲
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キーワード: 骨欠損, 肘開放骨折, 除脂肪
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2018 年 25 巻 2 号 p. 300-303

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抄録

 今回われわれは大きな骨関節欠損およびデグロービング損傷伴う肘開放骨折に対し,二期的に人工肘関節置換術(以下TEA)を施行したので報告する.

 症例:67歳,男性.高速道路事故で受傷し当院へ搬送された.右肘開放骨折(Gustilo IIIB)の診断で上腕骨遠位部から肘頭にいたる約13cmの骨欠損および広範なデグロービング損傷をみとめた.同日創外固定および洗浄デブリドマンを行い,皮膚は十分にdefattingした.その結果,一期的に創治癒が得られ,約1か月後に尺骨骨接合,約9か月後にTEAを施行した.受傷後1年6か月の時点で肘関節可動域は自動で伸展-5°,屈曲70°,JOA-JESスコアは68点で,インプラントの緩みや感染はない.

 考察:初回の徹底したデブリドマンとdefattingおよび創外固定により,軟部組織の壊死や感染を回避し,一期的に皮膚生着を得たことが患肢温存の土台となったと考える.

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© 2018 日本肘関節学会
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