2018 年 25 巻 2 号 p. 49-51
今回われわれは近位橈尺骨間に発生した骨外性軟骨腫の1例を経験したので報告する.症例は53歳男性で,約10年前より左肘周辺の疼痛を自覚していた.前医で近位橈尺骨間の異常陰影を指摘され,当科を受診した.前腕近位に強い圧痛があり,前腕回内外は激痛で不可能であった.単純X線で近位橈尺関節末梢に石灰化陰影がみられた.MRIでは橈尺骨間に介在するT1低信号,T2高信号の腫瘍が存在した.手術所見では橈骨頚部高位に白色シャーベット様の腫瘍を認めた.腫瘍は骨膜との連続性はなく,腫瘍を掻爬すると回内外が可能となった.病理組織学的検査では腫瘍は軟骨基質を主とし一部石灰化を伴う組織で,術中所見とあわせて骨外性軟骨腫と診断した.本症例では長期間に渡り腫瘍性病変の診断に至らず,疼痛と前腕回内外制限の原因が不明であった.前腕可動域制限の原因には軟部腫瘍の存在も念頭に置く必要がある.