日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
I.小児骨折・先天性疾患
Hegemann病に対してMRIによる経過観察を行った1例
磯部 文洋中村 恒一松葉 友幸
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2018 年 25 巻 2 号 p. 46-48

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抄録

 学童期から思春期の上腕骨滑車無腐性壊死はHegemann病として報告されている.われわれはHegemann病に対しMRIを経時的に撮影し経過観察をおこなった.

 14歳男児,バレーボール部に所属している.バレーボールにおけるトス動作をおこない右肘痛が出現した.肘に熱感,腫脹,発赤はなく内側上顆付近に軽度の圧痛を認めた.単純X線像では健側と比較して上腕骨滑車骨端核に骨化中心の縮小を認めた.MRIではT1強調像にて滑車骨端核に低信号域を認め,Hegemann病と診断し保存的治療としてスポーツ活動制限をおこなった.発症から3,6,9か月と上腕骨滑車骨端核の骨化中心は徐々に再生および拡大し,MRIにおける低高信号域は徐々に高信号域となった.発症半年で疼痛がなくなりスポーツ再開を許可し,経過は良好である.Hegemann病は骨折と誤診されることがあり,学童期から思春期の肘痛において鑑別疾患の一つとすべきである.

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© 2018 日本肘関節学会
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