日本肘関節学会雑誌
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Ⅳ. スポーツ障害
野球選手の上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の術後可動域の検討 - 移植骨軟骨柱の挿入角度との関連について -
米川 正悟渡邊 幹彦
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2019 年 26 巻 2 号 p. 151-155

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抄録

 われわれは野球選手の上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対して骨軟骨柱移植術を行なう場合がある.骨軟骨柱の挿入角度によっては,術後の可動域制限の原因となる可能性がある.今回,移殖した骨軟骨柱の挿入方向及び挿入角度と術後可動域の関係について検討したので報告する.対象は上腕骨小頭離断性骨軟骨炎と診断されて骨軟骨柱移植術を行った野球選手15名とした.骨軟骨柱は内側の適合性を重視して移植した.術後CTを用いて,移植された骨軟骨柱の挿入確度と挿入方向を測定し,術前後の可動域との関連性を評価した.術後に可動域が悪化したのは4例であり,4例中3例で関節面より約10-15度,外側から内側に傾いて骨軟骨柱が挿入されていた.術後の可動域を悪化させる原因として,移植骨軟骨柱の挿入方向と角度が傾いた状態である症例で多かった.骨軟骨柱の挿入方向と角度には十分に注意をして骨軟骨柱を移植する必要があると考えられた.

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© 2019 日本肘関節学会
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