日本肘関節学会雑誌
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Print ISSN : 1349-7324
Ⅵ. 神経疾患
肘部における上腕動脈からのカテーテル操作後の仮性動脈瘤による正中神経麻痺の2例
野口 亮介手島 昌之
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2021 年 28 巻 2 号 p. 156-158

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抄録

 上腕動脈穿刺カテーテル後に正中神経麻痺を生じた2例につき報告する.症例1,61歳男性.脳外科による検査後に生じた仮性動脈瘤による正中神経麻痺.母指対立は不能でSWTは赤であった.超音波検査にて正中神経の著明な圧排を認め,穿刺後79日目に仮性動脈瘤摘出術施行.術後24か月時,母指対立可能となりSWT紫まで改善.症例2,循環器内科での検査後に仮性動脈瘤を生じた.当該科で圧迫法・トロンビン注入法されたが,正中神経麻痺出現.母指対立はかろうじて可能,SWTは赤であった.仮性動脈瘤破裂後の血腫を認め,穿刺後21日目に血腫除去術施行.術後12か月時,運動麻痺は回復したが,SWT紫であった.麻痺発症後,手術までに時間を要する原因としては,カテーテル後の麻痺が稀であることや麻痺の発症が緩徐に起こることなどが挙げられる.手術までの期間が長いと運動麻痺が残存してしまうため,可及的早期に対処する必要がある.

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