抄録
症例は70歳男性で約50年前に空手道の稽古中に左前腕に蹴りを受け受傷した.当時,左尺骨骨折の診断で保存的治療が行われた.以後,大工をしていたが,70歳になり左上肢機能障害について近医に相談し,当院を紹介された.初診時,肘屈曲・前腕回外制限のため洗顔動作が不可能であった.単純X線で左尺骨骨幹部の変形治癒,橈骨頭の前方脱臼,腕頭関節の関節症性変化を認めた.成人例の陳旧性Monteggia脱臼骨折と診断し,患者適合型カッティングガイドを用いた三次元尺骨矯正骨切り術と橈骨頭切除術を行った.陳旧性Monteggia脱臼骨折の長期経過例では治療に一定のコンセンサスはなく,症例ごとに検討される.本症例ではAccurio ® 変形矯正システムで術前に骨切りの位置と矯正量を決定した.術前計画通りの術中操作が高い精度で可能で,目標とする可動域が獲得された.