抄録
診断に難渋した野球少年の回内筋症候群の1例について報告する.13歳男児.右投げ投手.9か月間続く投球動作時の右肘関節内側部痛を主訴に近医を受診した.内側上顆障害を疑われ,リハビリテーションを施行されたが改善せず,当科を紹介受診した.単純X線像,MR画像では明らかな異常はなく,保存療法を継続したが症状は改善しなかった.再診時,円回内筋部に圧痛,Tinel様徴候,誘発テストで陽性を認め,超音波ガイド下ブロックで疼痛に一時的な改善がみられ,回内筋症候群と診断した.保存療法に抵抗するため,手術療法を施行した.術後,症状は速やかに軽快し,再発なく競技を継続している.今回,発症頻度の低さ,若年者の報告が少ないことから回内筋症候群の診断に難渋した.