抄録
尺骨鉤状突起骨折に対し前内側進入にて内固定を施行した11肘を対象に治療成績を調査した.骨折部に対しては上腕二頭筋内側縁からクランク状の皮切を使用し展開した.上腕二頭筋腱膜を切開し上腕動脈,正中神経を直視下に確認しながら骨折部を露出し内固定を施行した.使用した内固定材はheadless screwとplateの併用を7肘,headless screwが3肘,plateが1肘であった.全例で骨癒合が得られ骨折部転位や正中神経障害を認めた症例はなかった.尺骨鉤状突起は橈骨頭と共に前方buttress効果を有し,肘関節後方脱臼の予防に寄与している.また転位した鉤状結節により後内側回旋不安定症が生じる.前内側進入は骨折部を直視しながら前方からの内固定操作が容易であり,主に外側支持機構の処置を必要としない尺骨鉤状突起骨折に対し有用な方法の1つであると考えた.