2026 年 14 巻 1 号 p. 10-22
多様な他者との関わりあいが,共同体感覚の発達をもたらし,それがさらにレジリエンスの向上に影響するという仮説モデルの検証を行った。小学3年生から中学3年生までの児童・生徒632名(東京:n=225,名古屋:n=350、沖縄県多良間島:n=57)を対象に,対人関係の多様性(他者との関わり経験,近所との交流など),アドラーの個人心理学に基づく共同体感覚(自己受容など),レジリエンス(援助要請力,楽観性など)に関する自記式質問紙調査を行った。分析の結果,他者との関わり経験と近所との交流は東京が最も少なく,多良間が最も多いことがわかった。また,東京と名古屋では,学年の上昇と共に近所との交流が激減した。楽観性は,東京が低く,多良間が高いことが明らかになった。多母集団同時分析の結果,冒頭に示した仮説は東京と名古屋ではほぼ立証されたが,多良間では限定的であることがわかった。子どもの心理発達について考えるうえでは地域環境の特性を考慮する必要があることが確認された。