環境心理学研究
Online ISSN : 2189-1427
ISSN-L : 2189-1427
原著
アートを導入した院内環境に対する注意回復理論の適用
壁面装飾を事例としたpilot study
宮坂 真紀子山野 雅之
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 6 巻 1 号 p. 1-11

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抄録
病院の環境に関する研究では,患者や医療従事者が自然に触れることが出来たり,自然風景を鑑賞出来る環境があるときは,ストレスの緩和や精神的な疲労からの回復が促進されることが知られている。本研究では,注意回復理論(attention restoration theory:ART)に基づいた回復環境(restorative environments)の視点から,アートが院内の環境評価に及ぼす影響を調べるために日本語版のPerceived Restorativeness Scale(PRS)を用いて実験を行った。参加者は美術専攻および心理学専攻の大学生で,モニターに提示された3条件(1:アート無し, 2:アート有り(物語:動物を主人公に描いた作品), 3:アート有り(自然:自然風景を描いた作品))の院内環境の写真を観察して評価を行った。実験の結果,専攻や性別の違いにより評価の程度は異なるが,いずれもアートが施工された場合は施工されていない場合に比べて評価が高かった。これらの結果から,アート作品を設置した院内環境は,設置しない場合と比較してより回復的な環境であると認知されることが示唆された。
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