2004 年 1 巻 1 号 p. 105-110
発話にはしばしば自発的な身振りが伴うが,発話と身振りの協調はどのように成立しているのだろうか.発話と身振りの協調は,ある水準では,種類の異なる記号聞の協調であり,別の水準では,肢体間協調左同様,運動する振動子聞の協調である.このようなことから,発話と身振りの協調にアプローチするには,言語・記号的な分析と協調のダイナミクスに関する基礎的研究を進め,それらの関係を明らかにしなければならない.本稿は,発話と身振り動作の協調に関して,蓄積されつつあるデータをも踏まえながら,自然会話における発話,身振り,呼吸運動の協調について,定性的な分析および考察をする.