2018 年 11 巻 2 号 p. 55-56
臨床場面において,患者がベッドに横になる際にふと見せる枕への適応動作(枕を動かすまたは自分が枕に近づくか離れる)は,まさに自分の頭部が枕に乗る的確な位置を見越した動作となっている。この動作はWarren1)らや三嶋2)らの実験を思い起こさせる. しかしすべてのヒトで枕との位置が適切に調整できるわけではない.特に臨床の場面では,この枕との不適応を多く経験する.不適応を示す方々の特徴として,様々な要因によって身体の運動機能に問題を有しており,機能が保持されている側でのみ生活を成立させていることが挙げられる.このように枕との距離が身体機能と関係が深い可能性があると思われる. 本研究の可能性は,枕と身体との関係から,患者が有する身体と環境との適応性を評価し,さらにこの動作を用いて身体と環境との適応性を再構築することで,疾患によって機能低下した外界への注意領域を拡張し,環境からのアフォーダンスのピックアップを活性化させることにつなげたい.本研究はその前段階として,健常人と疾患を有する人とで関係を観察し検討を試みたいと考える本発表では健常者の実験結果を報告する.