本研究では,飼育下におけるヨツユビリクガメの段差を降りる行為に着目し,カメの段差を降りる行為がどのように調整されているのかを視覚情報とカメの行為の関係から明らかにすることを目的とし,研究を行なっている.本稿ではこれまでの予備的な実験結果を報告する.実験では実験個体に対し,段差の高さを変化させる実験と段差下の床の光学的肌理のパターンを変化させる実験の二つを行なった.その結果実験個体は,床の光学的肌理のパターンを用いて段差を降りる行為を調整していることが示された.さらに段差の高さが高くなると降りるまでの時間や降り方,降りる場所が変化することから,これらの情報も段差のアフォーダンス知覚の指標として用いることができると考えている.