生態心理学研究
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日本生態心理学会第9回大会 予稿
ヴァイオリン合奏における奏者間のリード関係と自己・他者評価の関連
板垣 寧々谷貝 祐介古山 宣洋
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2022 年 14 巻 1 号 p. 173-181

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抄録

 本研究の目的は,ヴァイオリン奏者が共演者と身体動作を調整する過程と,自己あるいは共演者に対する評価の関連を探索的に検討することである.2 者で同パートを演奏した際のリード関係を, グレンジャー因果性分析を用いて定量化し,奏者による実験時の自己の演奏/相手の演奏に対する満足度,相手の演奏の好ましさ,好きな演奏と相手の演奏の類似度に関する回答結果と関連づけて考察した.その結果,奏者による自己の演奏に対する満足度の評価は奏者によって異なるが,相手の演奏に対する満足度は概ね高く評価することが明らかになった.また,相手の演奏の好ましさは,奏者自身が好きな演奏と類似しているかどうかより,合わせてくれたといった経験によって評価が分かれる可能性が示唆された.さらに,リード関係の構築過程はペア毎に異なるが,自己/他者の演奏に対する評価(特に満足度)に応じて各奏者が調整を行なっていることによる可能性が示唆された.

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© 2022 日本生態心理学会
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