2025 年 17 巻 1 号 p. 27-33
ソフトロボティクスと呼ばれる新しい分野では,ロボットのやわらかい身体を探索している.やわらかいロボットは,新しい身体論・知覚論を必要としており,生態心理学との接点がそこにある.ロボットにおける直接知覚の実践に向けて,かたいロボットとやわらかいロボットのちがいを,ロボットの身体構造や自己受容感覚の観点から論じた.環境とのインタラクションを可能にする新たな身体様式として,インフレータブルと呼ばれる空気膜構造がある.これを採用した人型インフレータブルロボットの研究例を紹介した.さらに,試行錯誤を通じて感覚-運動ループを学習する深層強化学習と生態心理学の接点について簡単に述べた.