生態心理学研究
Online ISSN : 2434-012X
Print ISSN : 1349-0443
特集2:生態心理学とリハビリテーションの融合
起き上がり動作時の揺すりと支持面の連続性について─背臥位及び起き上がり動作を通して─
池田 吉邦中尾 和夫上西 啓裕有馬 聡浦 正行安井 常正冨田 昌夫
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2013 年 6 巻 1 号 p. 65-68

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抄録

今回の研究では,身体内部の環境を「揺すり」を通じて変化させる事で外部環境としての支持面(床面)を知覚・探索しやすい身体づくりと,もう一つは外部から知覚しやすい環境として,支持面(床面)に情報(タオルなど)を提供することで,起き上がり動作がし易くなるという事から,その「動き易さ」がより支持面の変化を知覚でき環境との相互作用によりダイナミカルに起き上がり動作の中で「楽に動ける」という身体の連動性を促通し,知覚行為循環が促されたと考えている.まず「揺すり」の対象は,健常成人男性(22 歳)1 名で床上背臥位から対称的な起き上がりを,(1)臥床直後(210 分間安静臥床直後(3)頚部からの揺すり後について,ビデオ撮影にて視覚的分析し,圧センサーにて支持面の変化を、またボルグスケール(自覚的運動強度)にて「動き易さ」の自覚度を比較した.「揺すり」後は,視覚的分析で「滑らかさ」が見られ,支持面では,臥床時の接触域が増加し,ボルグスケールでは最初は「ややきつい」揺すり後は「かなり楽である」になった.以上のことから,「揺する」ことは身体動作を楽に行う治療手段となる可能性が示唆された.また,もう一つの研究からも対称的な起き上がり動作を通して,腰部と床面の空間にタオルを挿入することで,身体と支持面(床面)との相互関係の中で,より知覚行為循環を促すことは,起き上がり動作が楽に行える可能性が示唆された.

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© 2013 日本生態心理学会
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