2014 年 7 巻 1 号 p. 31-34
本稿では,第 17 回知覚と行為に関する国際会議の参加報告として,そこで発表した研究の一つを紹介する.この研究では,枯山水庭園の魅力を科学的に解明する試みとして,周囲の環境による包囲と鑑賞者が感じる印象との関係について調べた.京都市にある 18 カ所の庭園を対象に選び,実測調査および心理実験を行った.実測調査では,3D レーザースキャナーを鑑賞場所に設置し,周囲全方向の空間構成を計測した.実験では,バーチャルリアリティ技術を用いて,鑑賞場所の周囲の環境を体験できるようにした.被験者には,それぞれの庭園を自由に鑑賞した後,その印象(美しさ,面白さ,落ち着き)を評価してもらった.そして,環境計測データから包囲の度合いを算出し,印象評価との関係を分析した結果,正の相関があることが分かった.この結果は,周囲を包囲するという全体的な空間構成が,庭園の魅力を生み出す一要因であることを示唆している.