2019 年 80 巻 5 号 p. 948-952
患者は86歳,女性.両下肢の浮腫を主訴に当院を受診,腹部CT検査で大動脈周囲リンパ節の多発性腫大とS状結腸の壁肥厚を認め,外科へ紹介となった.理学所見では下半身に非圧痕性浮腫を認め,腫瘍マーカーはCA125と可溶性IL2レセプターが上昇していた.腹部CT検査では下大静脈の閉塞はなく,下半身の浮腫はリンパ節腫大に伴うリンパ性浮腫と思われた.下部消化管内視鏡検査では,肛門縁から17cmに亜全周性の粘膜下腫瘍様の限局潰瘍病変を認めた.組織生検で微小乳頭癌を認めたが,大腸癌としては非典型的な組織型であった.腫瘍の肉眼型や組織型,臨床経過が通常の大腸癌とは異なっていたため,診断的治療目的でS状結腸の病巣部切除を行った.手術所見および切除標本の病理所見からは,S状結腸原発の浸潤性微小乳頭癌と診断された.通常の大腸癌とは異なる臨床像を示し,診断に難渋したS状結腸原発浸潤性微小乳頭癌を経験したので報告する.