社会科研究
Online ISSN : 2432-9142
Print ISSN : 0289-856X
ISSN-L : 0289-856X
最新号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 原稿種別: 目次(和文・英文)
    2024 年100 巻 p. CONTENTS-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/07/26
    ジャーナル フリー
  • ― 多彩な研究の萌芽から「原理研究」の創造へ ―
    溝口 和宏
    原稿種別: 特集論文
    2024 年100 巻 p. 1-12
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/07/26
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,全国社会科教育学会の機関誌『社会科研究』について,その前身である廣島大学教育学部社会科学会期の第1号(1953年)から第14号(1966年),および日本社会科教育研究会期の第15号(1967年)から第25号(1976年)までの研究の特徴や傾向についてレビューするものである。社会科教育学研究は,その研究方法論の確立と歩調を合わせる形で発展してきた。『社会科研究』創刊当初の研究観は大きく変容し,1970年頃を境に,研究は,教育学や心理学,人文・社会諸科学の応用科学としての研究から,「社会科教育の原理の研究」を志向する,独自の研究対象と方法をもつ教科教育学としての社会科教育学研究へと移行していった。

  • 永田 忠道
    原稿種別: 特集論文
    2024 年100 巻 p. 13-24
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/07/26
    ジャーナル フリー

     本稿では,機関誌『社会科研究』の第26号から第50号のレビューについて,まず本学会の学会としての成立と展開を支えてきた歴代理事長・会長の研究の歩みから時期区分を行った。この時期区分に即して学術研究の萌芽と展開を明らかにすることを通して,社会科に関する研究動向の軸を見定めることを目的に考察と検討を進めた。その結果,第26号から第50号までの時期は,社会科に関する学術研究の進展が着実に進み,その研究対象や研究方法の拡大と深化も堅調に推移してきたことが改めて確認できたが,その一方で学校教育の中での社会科は制度的に解体の経験を伴う時期に差し掛かっていた。学校現場における社会科が直面する現実と,学会での学術研究での社会科に関する理想を追い求める動向との乖離が大きくなり始めたのが,本稿で対象とした論考の時期でもあったと位置づけられる。学会の成立と研究の進展に伴い,学校現場の現実と学術の場での理想との間で,社会科が相生と共に相剋への関係へと踏み込んでいくことになるのが,本時期の動向の一つの表象であると結論づけることができる。

  • 角田 将士, 伊藤 直之
    原稿種別: 特集論文
    2024 年100 巻 p. 25-36
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/07/26
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,『社会科研究』の第51号から第60号(1999年11月~2004年3月刊行)に掲載された論文をレビューし,この時期の研究の特質とその今日的意義を探ることである。本稿では,当時の社会科教育学研究における研究的枠組みを示した,森分孝治(1999)『社会科研究学研究-方法論アプローチ入門-』明治図書,に基づいて,方法論的な視点から研究の分類を行うことで,まずは量的な視点から,この期間における研究の概要を明らかにした。それを踏まえて,対象期間に研究が集中していた分野に焦点化し,質的な視点から,特徴的な研究の目的・内容・方法について分析することで,対象期間の研究がその後の社会科教育学研究にどのような影響を与えたのか,その今日的意義について考察した。対象期間の研究のほとんどは,「事実研究」と「理論研究」になっており,社会科の教育課程や教材・授業を「つくり」,「分析」することが,社会科教育学研究として意義ある研究と捉えられていた。さらに,ほとんどの研究が,より望ましい社会科教育の事実をつくる,あるいはそうした事実を創造する理論を構築することを主眼に,具体的な「授業の事実」を示そうとするものになっていた。対象時期の研究において示された社会科教育の理念や規範は,今日大勢を占める実証的で経験的な研究においても研究の基盤(前提)とされており,そのことは社会科教育学研究の存在価値ともなっている。社会科教育学研究がその存在価値を明確にした時期として,対象時期の研究史的意義は大きい。

  • 福田 喜彦
    原稿種別: 特別論文
    2024 年100 巻 p. 37-48
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/07/26
    ジャーナル フリー

     本稿では,学会拡大期の『社会科研究』の第61号から第70号までに掲載された論文をもとに,これらの論文が社会科教育研究にどのような視座をもたらしたのかを3つの類型による研究動向から明らかにした。第一に,規範的・原理的研究の動向では,「法教育研究への視座」「社会科評価研究への視座」「外国研究への視座」「シティズンシップ教育への視座」の4つの視座を位置づけて分析した。第二に,開発的・実践的研究の動向では,「社会科授業研究への視座」を位置づけて掲載論文を分析した。第三に,実証的・経験的研究の動向では,「社会科教育史研究への視座」を位置づけて掲載論文を分析した。結論として,本稿で分析対象にした学会拡大期の掲載論文は,社会科教育研究の高度化と細分化に寄与した論文であるといえる。第一に,社会科教育研究の高度化については,この時期の掲載論文は,博士論文の研究の基礎や発展につながるものが多く見られることである。教科教育学研究における大学院重点化の政策によって,社会科教育研究においても修士課程や博士課程での研究が充実した。それによって,社会科教育研究の学問的なアプローチもより洗練されたものになったのである。第二に,社会科教育研究の細分化については,法教育研究や社会科評価研究など今日において重視されている研究領域の先駆的な研究がこの時期に登場したことが挙げられる。こうした細分化された研究領域は,この後の社会科教育研究においての理論的な基盤を形成し,それぞれの学校種の実践的研究においても大きな影響を与えていくことになったのである。

  • ― 子どもの日記に対する長岡文雄の言説の分析から ―
    漆畑 俊晴
    原稿種別: 研究論文
    2024 年100 巻 p. 49-60
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/07/26
    ジャーナル フリー

     本研究は,社会科教師が熟達化していくためには,授業における教師の専門的能力のうちとくに「子ども観」という信念がどのように形成されていくことが必要なのかを明らかにすることを目的とする。そのため,奈良女子大学文学部附属小学校の長岡文雄を対象とした事例研究を行い,子どもの日記に対する教師の言説の変容を分析することで,社会科教師の子ども観の形成とその要因を明らかにする。

     この検討から長岡の子ども観は,基礎期(自身の生活の苦労から人間の厳粛さに迫る),成長期(実践的で執拗な追究から人間の幸せを考える),発展期(独自の個性的な追究から人間の厳粛さに迫る),統合期(終わりなき追究により人間の厳粛さに迫る)の4段階で変容していた。

     ここから,長岡の子ども観の変容の傾向は,①「子どもは,自身の個性的思考を発展させて人間の厳粛さに迫る」という通底する子ども観をもち,それが更新されて確固たるものになっていること,②子どもを捉える視点を段階的に増加させ,視点の内実も細分化されていることがあると明らかになった。また,各時期において子どもの状況にあわせて子どもを捉える視点を変容させ,振り返りを通して統合していたことが分かった。さらに,子ども観の形成要因には,①自身の被教育体験,②同僚教師からの学び,③勤務校の変化,④研究会への継続的な参加,⑤学習指導要領の改訂,⑥歴史的社会的事象,というライフイベントに対する教師の受け止めがあった。

  • 原稿種別: 倫理・転載・規程
    2024 年100 巻 p. APP1-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/07/26
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 編集後記・編集委員・奥付
    2024 年100 巻 p. APP2-
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/07/26
    ジャーナル フリー
feedback
Top