本稿では，その日のニュースにおける現代社会の問題と関連した歴史の因果関係を検索できるシステムのフレームワークを開発し，それらの歴史を直接応用させることで真正な社会参画を促す授業を開発する。はじめに，先行研究をもとに現代社会と歴史が関連するカテゴリを調査し，13個のカテゴリを導出した。次に，カテゴリを付与した歴史のデータをもとに，行列積と分類器を用いた２つの検索方法を開発し，その日のニュースの社会問題と関連する歴史の因果関係を類似度順に提示できるシステムのフレームワークを開発した。さらに，本システムのフレームワークを用い，１）現代社会の問題とそれに関連する歴史を選択し，２）選択した歴史の因果関係を構築し，３）グループ内で妥当性を評価しながら現代社会の問題を解決するために応用し，４）歴史から得た観点を複合的に応用し，５）学習成果を社会へ発信する，という世界史の授業を開発した。最後に，５回の「主題を設定して行う学習」における段階的な本授業の実施を検討し，主権者育成を行うための世界史のカリキュラムを提案した。
