日本中央競馬会競走馬保健研究所報告
Online ISSN : 1884-4634
Print ISSN : 0368-5543
ISSN-L : 0368-5543
競走馬の臨床心音図学
I熱ペン直記式心音心電計による第1音および第2音の安静値
千田 哲生久保 勝義
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 1972 巻 9 号 p. 44-54

詳細
抄録

 心音図学を競走馬臨床に応用するための基礎研究の一環として以下の実験を行ない安静値を得た。供試馬は臨床上異常を認めない軽種馬32頭で,無麻酔で枠場内または馬房内に駐立保定し,大動脈弁,肺動脈弁および僧帽弁各開口部において心音図を記録した。心音図の記録にはフクダ電子製RS200S型直記式心音心電計と,PM-1接触型マイクを用いた。フィルターはLおよびM1を使用し,紙送り速度は毎秒50または100mmとした。その成績は以下のとおりである。 1.第1音の形状はダイヤモンド型および漸減型が同数に近い値で出現したが,第2音のそれは3分の2以上において漸減型を示した。 2.第1音と第2音の強度の比較において,大動脈弁開口部では半数以上が第1音大,肺動脈弁開口部では半数以上が第2音大,僧帽弁開口部では3分の2以上が第1音大であった。 3.第1音持続時間は0.10ないし0.23秒,第2音持続時間は0.07ないし0.14秒であった。 4.I-II間隔は0.42ないし0.57秒,Q-I間隔は0.03ないし0.10秒であった。  

著者関連情報
© 日本中央競馬会 競走馬総合研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top