ゲタウイルスの生態学的調査を茨城県下, 美浦トレーニング・センター (トレセン) 近在の豚舎に11頭のおとり豚を用いて, 1979年6月22目から同年10月29日の間実施した。この調査期間中, おとり豚のプラズマからHmLu-1およびVero細胞培養により3株のウイルスが分離された。JaGAr 01およびHaruna株のモルモット免疫血清を用いたプラック減少中和試験により, これらの分離株のうち8月27日に分離された2株 (MIP-124, -125) は日本脳炎ウイルスと同定され, 9月10日に分離された他の1株 (MIP-99) はゲタウイルスと同定された。また, JaGAr 01株に対する中和抗体は9月3日のおとり豚血清11例全例に認められた。一方, MIP-99株に対する中和抗体は9月10日に2/11例に初めて検出され, 次いで, 9月17日には新たに4例に証明された。さらに, 2頭を除く残りの3頭のおとり豚血清中に10月1日, 16日, および29日に中和抗体が証明された。これらのことから, 豚は自然界におけるゲタウイルスの伝播サイクルに巻き込まれ, 自然宿主あるいは増幅動物として重要な役割りを演じていることが示唆された。