日本中央競馬会競走馬総合研究所報告
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日本における馬白血病症候群に関する病理学的観察
藤本 胖門田 耕一森口 良三桐生 啓治松川 清千早 豊
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1982 年 1982 巻 19 号 p. 69-88

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抄録

過去30年間 (1949-1979) に集められた馬白血病群 (EL) 14頭が病理形態学的に観察され, 腫瘍細胞の特徴により次の型に分類された。A. リンパ肉腫12例: リンパ球性リンパ肉腫 (2例), リンパ球性及び前リンパ球性リンパ肉腫 (3例), リンパ芽球性リンパ肉腫 (1例), 未分化組織球性リンパ肉腫 (1例), 組織球性リンパ肉腫 (2例) 及び組織芽球性リンパ肉腫 (1例)。B. 幹細胞性白血病1例。C. 骨髄性白血病1例。14例は2乃至3歳馬5例, 8乃至17歳馬6例, 年齢不詳馬3例よりなっていた。リンパ肉腫罹患馬12例は多中心型9例, 消化器型1例, 孤立リンパ腫2例よりなっていた。2例が皮下組織腫瘍を伴っていた。ELに最も頻繁に冒される臓器はリンパ節で, 次で脾臓, 腎臓, 腸及び肝臓であった。心臓, 肺, 胸腺, 躯幹筋及び皮膚はより低い頻度で冒されていた。組織球性リンパ肉腫の超微形態において, 特に粗面小胞体の分布及び構造に幅広い変化が見られた。腫瘍細胞の細胞質において, 大型空胞が屡々見られた。高度な多形性の核と著しく大きい核小体, 拡大したゴルジー野, 豊富なブリーリボゾームは高度な代謝活性を示すものである。電顕的検索では何処にもウイルス粒子を見ることは出来なかった。

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