2015 年 15 巻 01 号 p. 112-124
本稿では,小学校外国語活動で主に使用されている教材『Hi, friends!』(5,6 年生用)と中学校1 年生で使用されている英語教科書(4 社)に掲載されているコミュニケーション活動について,臼田他 (2009)で行ったタスク性分析を用いて調査した。さらに,教科書で用いられている活動が学習者の動 機づけを高めるのか調べるために,授業分析の手法として用いられるMotivation Orientation of Language Teaching (Guilloteaux & Dörnyei,2008)を用いることにした。結果はタスク性分析のすべての 項目について,中学校英語教科書よりも『Hi, friends!』の方がタスク性が高く,動機づけを高める要素についても一部を除いて,『Hi, friends!』で扱われる活動の方に多く含まれていることが明らかになった。よって,『Hi, friends!』で扱われているコミュニケーション活動は,中学校の教科書に比べタスク性が高く,学習者の動機づけを高めるようなストラテジーを使用することが想定される。また,コミュニケーション活動におけるタスク性と動機づけを高める要素との関係について検証したところ,動機づけを高める要素を含む活動の方がタスク性が高くなった。