2016 年 16 巻 01 号 p. 163-178
本研究は,小学校外国語活動を担当する小学校中核教員が文字指導においてどのような考えや意識を持っているのかを明らかにするために,アルファベットの文字の名前や音,基礎的な単語の読みを教えるのにふさわしいと考える学習開始時期をアンケート用紙に回答してもらい,その分析結果を基に,教員研修における文字指導のあり方についての示唆を試みたものである。研修対象者は千葉県教育委員会主催の「小学校外国語活動中核教員養成研修」を受けた小学校教員92 名で, アンケート調査の統計分析,及び,その結果を基に行ったインタビュー調査より,教員間で「文字指導」についての解釈が一定しておらず,文字指導を「書くこと」だとか, 文字指導は英語嫌いを招く恐れがあると考えている教員もいることが判明した。また, アルファベットの名前と音を教える時期については,大文字・小文字ともに名前は3 年生,しかし音については5 年生で教えるのがふさわしいと名前と音を切り離して考えている傾向があることがわかった。これらの傾向から入門期の英語学習者に対する文字指導のあり方を再考し,小学校教員の文字指導に 対する意識を抜本的に変えていく必要性があることが明らかとなった。