2017 年 17 巻 02 号 p. 69-84
本研究の目的は,必修化直後および現時点における中学校英語教師の外国語活動を経験した学習者の態度・能力の傾向とその変化を調べることである。学習者の態度・能力の変化と外国語活動に関する考えに関する質問紙調査を実施した結果,「積極性」「中学英語への自信」「コミュニケーションへの自信」「聞く・話す力」「読む・書く力」という5つの意識のまとまりが観察された。それら5つの因子をもとに,必修化直後と現在を比較したところ,現在の教師の方が「積極性」が高いと考えている傾向がやや強いことが示された。また,中学校英語教師の小学校英語に関する考えとして,肯定派,改善派,肯定派の3つのグループがあることが明らかとなった。さらに,中学校英語教師の外国語活動を経験した生徒の態度・能力についての意識について,必修化直後と現在とで一部の因子で差が見 られることや小学校英語に関する考えについてはあまり差が見られないことも示された。中学校英語教師の外国語活動を経験した生徒の態度・能力についての意識に影響する要因として,外国語活動の研修の参加と小学校英語に関する考えが影響していることも示された。