2019 年 19 巻 01 号 p. 20-
本研究は,小学校の初任専科教員を対象に,ライフストーリーのインタビューと授業の参与観察ならびに事後検討会を実施し,授業者の信念と授業実践経験との関わりの中で,英語音声指導が変容していく過程を描述した。その結果,授業者にとって「中学校以降の英語学習に対する動機付けのために楽しい授業を行う」ことと授業規律に関する指導を行うことが対立したものとして位置付けられている期間は,安定した授業運営を行えないために十分な音声指導が行われなかったことが導出された。 そして,「児童の学習機会を保障する」という点から両者が整理され,具体的な音声指導を実践できるようになるにしたがい,「わかる楽しさ」や「できる楽しさ」がより重視されるようになるとともに, 英語音声の習得や指導に関する信念が,指導に対する児童の反応を拠り所として強化されたことが明らかになった。しかし,歌教材の選択と活用については,音声指導,学習内容,児童の英語習得段階などの調和に関する課題を解決するに至るだけの実践知が得られなかったことが見出された。